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スペシャルインタビュー

変革を迫られる日本の新卒採用[2/5ページ]

東京大学大学院教育学研究科 本田 由紀 教授
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2)「平原」のような新卒採用市場


---学生の希望が大手企業ばかりに集中してしまうことも、課題と言われています。

東京大学大学院教育学研究科 本田 由紀 教授「学生が十分に企業を研究できていないからだ」とか、「中堅・中小企業からの魅力の発信が足りないからだ」など、いわゆる「情報」の問題とされることが多いようですが、実は日本企業の採用時の選考基準が曖昧であることと、密接な関係があると考えています。

日本型の新卒採用では、選考の中心は面接です。そこでは、コミュニケーション能力や行動特性などを見るといわれますが、実際は、非常に感覚的な基準で採否を決めていることが多いのです。その結果として、日本の新卒市場では業種や職種に関係なく、同じような「ポテンシャルの高さ」が求められるのが一般的です。世界的に見ても独特で、見渡すかぎり同じような学生を求める、平原のような採用市場なのです。

つまり、誰もがどの企業でも応募でき、たとえばメーカーと商社と銀行とサービス業という異なる業界の各社から内定をもらったという、「優秀な学生」が出てくるわけです。そういう学生も身体は一つですから、1社に決めて、それ以外は辞退しなくてはなりません。一方で、どこからも内定がもらえなかった学生も出てくるわけです。これは企業にとっても、大変非効率なパターンといわなくてはならないでしょう。

---しかし、日本企業の採用基準が漠然としたものであるのは、昔からのことではないでしょうか。

もちろんそうです。しかし、日本型の新卒採用システムが一定の役割を果たしていた時代と現在とでは、企業と学生を取り巻く多くの条件が変化していることは見逃せません。

特に大きいのは、長期雇用・長期育成という大前提が崩れていることです。1980年代末のバブル期までは、「なんとなくポテンシャルが高そうだ」という学生を採用し、入社後に育成できたわけです。また、ジョブローテーションも一般的でしたので、人材のほうも少しくらい思っていたのと違う職場に配属されたとしても、長期的な視点でじっくりと構えることができました。ですから、ミスマッチがあったとしても、あまり表面化しなかったのではないでしょうか。

それに対して現在は、入社後の教育に時間をかけられないので、できるだけ即戦力―それも、1言えば100わかるといった、ジェネラルな意味での即戦力ですが―に近い人材を厳選採用するのが普通です。バブル期に大量採用した人材が1990年代を通して企業の負担になった教訓のほか、少子高齢化で縮小する国内市場や、アジア勢を中心とする新興国との激しい競争に直面している海外市場などを考えると、厳選採用の傾向は今後もしばらく続くと考えるべきでしょう。採用の海外シフトの傾向も強くなってきています。

さらに学生側の状況も、以前とは異なります。まず学生数が1990年代以降、大幅に増えています。また、少子化(18歳人口の減少)とともに大学の定員が増えたため、「大学生なら当然の学力レベル」を伴わない学生も多くなっています。さらに、インターネットを介した就職活動の普及により、学生1人当たりの応募企業が増えています。つまり、企業は以前よりも大量で、かつ質にバラつきがある応募者の中から、以前よりも絞り込んだ採用を求められているわけです。

以前と同じように、感覚的な選考基準による新卒採用を続けていくようでは、企業・学生の双方が疲弊するだけではないでしょうか。


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