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特別パネルセッション

企業事例から探る「新卒採用」の課題と今後の方向性

採用ツールの多様化、活動スケジュールの変更など、新卒採用をめぐる話題はつきない。企業には今後もさまざまな変化への対応が求められそうだが、いま、企業はどのように採用活動に臨んでいるのだろうか。コクヨ、日本GE、三幸製菓の事例を紹介しながら、新卒採用の課題と今後の方向性について考えた。
(2015年5月19日開催 日本の人事部「HRカンファレンス2015-春-」より)

【パネリスト】
口村圭氏プロフィール写真
コクヨ株式会社 経営管理本部 人事総務部 統括部長
口村 圭氏 (くちむら・けい)
プロフィール:1992年大阪大学卒業後、東レ株式会社に入社。人事制度企画、グローバル人事、国内外工場労務、年金・退職金改革など、一貫して人事勤労分野でのキャリアを積んだ後、2006年にジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニーに入社。複数の医療機器ビジネスユニットにおける人事責任者(HRビジネスパートナー)、HRビジネスパートナーグループシニアマネジャー、人材開発・採用グループシニアマネジャーを経た後、2012年にコクヨ株式会社に入社、グローバル人財育成担当部長、人財開発部長を経て、2015年4月より現職。
木下梨紗氏プロフィール写真
日本GE株式会社 GE Capital 人事本部 HRマネージャー
木下 梨紗氏 (きのした・りさ)
プロフィール:大学卒業後、AIGグループに入社。 新卒・中途採用担当、長崎への子会社立上責任者を経て、C&Bへ。人事評価制度企画・運営を経て東京海上グループに転職。 人材開発マネジャを経験後、AIG グループにて人材開発・C&Bを担当。社内教育育成制度の確立および、研修 講師としてファシリテーション研修・アクティブリスニング研修・タイムマネジメント研修等の研修を開発。 年間延べ1,000人の社員へ研修を提供。2012年よりGEに入社。専門性とリーダーシップを併せ持つ強力な リーダーを育成するためのプログラム「リーダーシッププログラム」マネジャーとして、プログラム生の 採用・育成・コーチングに従事。2014年3月よりGEキャピタルにて現職に従事。
杉浦二郎氏プロフィール写真
三幸製菓株式会社 システムマネジメント部 次長
杉浦 二郎氏 (すぎうら・じろう)
プロフィール:大学卒業後、証券会社での営業経験を経て2001年に三幸製菓株式会社へ入社。資材調達、総務を経験後、2007年より人事専任として採用・育成・人事制度等人事業務全般に従事。最近では「おせんべい採用」「ガリ勉採用」「出前全員面接会」などといった独特の採用選抜方法が話題となり、テレビ・新聞等にも取り上げられるなど、ユニークな採用施策を打ち出している。
【ファシリテーター】
岡崎仁美氏プロフィール写真
株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所所長
岡崎 仁美氏(おかざき・ひとみ)
プロフィール:1993年株式会社リクルートに新卒入社。以来一貫して人材関連事業に従事。営業担当として中堅・中小企業を中心に約2000社の人材採用・育成に携わった後、転職情報誌『B-ing関東版』編集企画マネージャー、同誌副編集長、転職サイト『リクナビNEXT』編集長を経て、2007年より『リクナビ』編集長。2013年3月、「働く」の第一歩である就職の“今”と“未来”を掴み、よりよい就職・採用の在り方を模索する『就職みらい研究所』を設立、所長に就任。

コクヨ 口村圭氏によるプレゼンテーション:
25社のコラボレーションが生む独自の採用活動

口村圭氏 プレゼンテーションの様子創立110周年を迎えた老舗企業、コクヨ。「商品を通じて世の中の役に立つ」という、企業として当たり前とも言える理念に共感できる人に入社していただきたいと、同社の口村氏は言う。グローバル人材の採用は5年前からスタート。採用活動を通じて学生に成長してもらうことに主眼を置き、学生には自分できちんと視野を広げた結果としてコクヨを選んでもらいたいと考えている。

「そのための取り組みの一つが〈ジョブスタディ〉という、異業種25社共同で開催するセミナーやインターンシップです。単体では接点の持てない学生と出会えますし、学生にとっても、当初は志望先ではなかった企業に興味を持つきっかけとなっています。例えば、過去に行った5日間の異業種3社合同インターンシップでは、各社個別のテーマとは別に『東京オリンピックのビジネスチャンスを活かして3社コラボレーション事業を企画しなさい』という通しテーマを設定。各社での体験を経て、最終的にグループ発表を行いました。複数の企業と接することで、職業に対する幅広い理解や価値観が得てほしいという思いがあります」

同社の選考プロセスの特徴は、採用職種に応じたグループワークや実習などを組み込んでいること。技術系の二次面接では、実際に製品を触ったり分解したりした上でレポートやプレゼンを行ってもらうという。また、最終面接の前には志望度の確認だけではなく、「本当に自分のやりたいことは何なのか、それはコクヨで実現できるのか」という学生自身の内省を促すコミュニケーションを重視した面談に時間を割くようにしている。

「求める人材像や見極め項目などについては、毎年試行錯誤を繰り返して精度アップに取り組んでいます。求める学生をタイプ分けし選考設計を最適化、事後には、内定者に偏りはなかったか、入社後の活躍はどうかといった検証を行い、次年度に反映させています。結果、取り組み前に比べて離職率も低下してきています」

日本GE 木下梨紗氏によるプレゼンテーション:
幹部候補生(リーダーシッププログラム)の新卒採用プログラム

木下梨紗氏 プレゼンテ―ションの様子GEの従業員は全世界で30万人であり、日本は約5000人。トーマス・エジソンが約130年前に創設した企業であり、CEO Jeff Immelt自らがリーダーの育成、コーチング、評価などに30%の時間を費やすことを始め、教育育成への投資が大きく強いリーダーを輩出する企業としても評価を得ていると、同社の木下氏は紹介する。

「人材育成の一つに、各専門性を持つリーダーを短期間で育成するプログラムがあります。本日はその中でも主に新卒を対象とした、FMP(Financial Management Program)プログラムについてお話しします。FMPは経理財務の業務に軸足を置き、プログラム期間である2年間で半年ごとに4回、経理財務エリアのさまざまな部門をローテーションします。各配属先で難易度の高いストレッチな目標を達成して行くこと、専門知識に関するコースワークの取り組み、さまざまなリーダーからのインプットやフィードバックを通じて強い専門性とリーダーシップを兼ね揃えた人材に成長して行きます」

FMPの新卒採用に際しては、日本の新卒学生に対するGEの認知度の低さと、ミスマッチに対応するために、三つの取り組みを実施した。

「まずは、GEとFMPという育成プログラムを知ってもらうために、経理財務のケーススタディを半日で行う”Get know Finance”sessionを開催。就職対象としてだけでなく、経理財務業務への関心や適性を感じてもらうための場と捉えています。次に、ミスマッチ解消のため重要視している、実務型インターンシップ。これは2ヵ月のインターンシップの期間、実際に一つの業務やプロジェクトを担当し、完遂してもらう。その内容について、社員同様に評価やフィードバックを行うという内容です。三つ目は、HR相談会。最終面接を実施する前の段階で行う人事との面談です。学生自身が正しく認識できていない学生本人の真意を引き出す事を手伝い、入社後のミスマッチを防ぐ位置づけになります」

三幸製菓 杉浦二郎氏によるプレゼンテーション:
日本一短いES・35の質問・カフェテリア採用

杉浦二郎氏 プレゼンテ―ションの様子創業50周年を迎えたばかりの三幸製菓は、本社を新潟に構える米菓メーカー。学生と同社の効率的な活動を念頭に、〈日本一短いES(エントリーシート)〉〈35の質問〉〈カフェテリア採用〉を採用の特徴に持つと、同社の杉浦氏は挙げる。

「学生からの情報は、まず連絡先で充分だと考えて、メールアドレスだけにしたのが〈日本一短いES〉です。そのメールアドレスに〈35の質問〉という適性検査のURLを送信。三幸製菓というカルチャーに合うかどうかをアセスメントする内容になっています。その結果、6分類プラス不適性の7パターンに分け、各適性に応じた選考を用意しています。つまり学生は、自分が分類された適性をしっかり測られる選考を通じて採用されるのです。この〈カフェテリア採用〉を経た後、最終面接になります。志望動機はその段階での確認でいいと思っています。選考の過程の中で得られる情報が入社動機として一番強くなるだろうと考えているからです」

採用のゴールは「2年後のパフォーマンスが上位であること」と定義している。実際に、2年前後の社員の入社時のデータ、アンケート、インタビュー、パフォーマンスを分析し、適性、項目、要素との相関を抽出した結果を、6パターンのカフェテリア採用に落とし込んでいる。さらにカフェテリア採用の6パターンに対応させ、17種類の選考法を考案。その中から受けたいものを学生は選べる。

「適性を分類した先にそれに応じた採用選考を準備して、採用のための選考ではなく、適性を見極めるために適性が表現できるような選考を用意しているということです。学生としても、選考の意図を理解した上で臨めるのではないかと思います」

リクルートキャリア 岡崎仁美氏によるプレゼンテーション:
2016年卒の採用戦線とインターンシップの実態

パネルセッションの様子リクルートキャリアの岡崎氏は、2016年卒の採用戦線の状況を以下のように解説した。「求人倍率は1.73倍という高水準で、企業にとって厳しい環境です。2016年卒採用からのスケジュール変更によって、企業の6割以上が新卒採用活動の母集団は減る、7割近くが応募者数も減る、6割近くが内定辞退は増える、半分近くが採用活動期間は長くなる、約4割が新卒採用できる人数は減ってしまうと予測。長期化・苦戦という見方が概ねです」

企業の情報公開と説明会開始が“ほぼ同時化”する影響を受け、学生の視野が広がりにくくなる点が重要であると岡崎氏は指摘する。そのため、学生に認知されないまま採用活動が終わるのではないかという危機感も高まっている。

「そんな中、自社認知促進の手段として注目されているのが、インターンシップです。ここ3年で実施企業の割合は約10ポイント高まり、裾野が広がりました。6割近くの企業がインターンシップを今年度実施すると回答。採用直結を目的に実施する企業は全体の7.1%(複数回答)、実際に採用直結の成果があったとするのは3.4%と共に限定的です。採用を意識しつつも、まずは業界や仕事を知って好きになってもらうことに主眼を置いた実施が増えています。2015年卒の新入社員にインターンシップに参加した企業に入社したかをたずねると、七人に一人が入社、4割が同業界に入社していることが判明。また実施企業の5割弱が、内定者の中にインターンシップ参加者が存在したと回答。採用を目的とせずとも内定者が得られた企業もあるという実態です」

ディスカッション:
3社が取り組むユニークな採用法の背景と工夫

岡崎仁美氏 Photo岡崎:杉浦さんは7年間新卒採用を担当されていますが、カフェテリア採用を始めた背景を教えて下さい。

杉浦:私が担当になった頃は経営側の採用への理解が全くなく、予算も権限もない状態からのスタートでした。とはいえ、採用は大事だとずっと考えていたので経営との対話は続け、かなり時間をかけました。今はある程度フリーに任せてもらっています。

岡崎:2年後のパフォーマンスが上位であることを定義した理由は何でしょう。

杉浦:2年以降は、環境や育成や組織との連動の影響がはるかに強くなるからです。逆に言えば、2年で辞めるのは問答無用で採用の責任だと個人的に思っています。

岡崎:入社後の定着という文脈では、トライアンドエラーの繰り返しについて口村さんもお話しされましたが、〈ジョブスタディ〉はどのように生まれたのでしょう。

口村:学生も企業も良い所ばかり伝えがちで、学生の会社や仕事の理解がなかなか進まない、という問題意識から立ち上げられました。「当社のことをよく分かっていないのに、なぜ内定承諾したのだろう?」「このまま入社させてよいのだろうか?」という人事のモヤッとした声がベースにありました。人事との本音のやり取りを通じて、学生が会社や職業をより深く理解し、各人なりに納得して入社してもらうことが目標の根源です。トライアンドエラーについては、会社の方向性や戦略が転換した時、従来型の採用方法では新たに獲得したい人材は採用できません。ですから毎年、どのような人材が必要で、どのような広報や選考をすべきか、ひも解きながら実践してきたという背景です。

岡崎:採用数といった目に見える結果だけではなく、そうした「モヤッ」とした声や問題意識を引き出すため、何かされたのでしょうか。

口村:採用後の振り返りはもちろんですが、現場で毎年採用人数をヒアリングする際に、その後の活躍度合いや問題点なども集めて選考設計に反映させるようにしています。結果が良かったからと安住することなく、その時々の問題意識を持ってそれに合った選考方法を模索するというPDCAを回し続けているところが特徴と言えるかもしれません。

岡崎:事前ヒアリングのほかに、その後の報告や情報交換も行われるのですか。

口村: 人材のタイプと3、5年後の社員のパフォーマンス、人事評価などをつき合わせて、好業績者や内定者の相関なども分析しています。入社時はAタイプだった人がこの経験を経るとB タイプになるといった分析結果を踏まえつつ、より効果的な選考に向けた検討を今も続けています。

岡崎:口村さんから、面接を受けるうちに学生が自分をその企業に合った人物だと思いたい気持ちが大きくなり、本当の自分の考えが分からなくなってしまう現象に対して、本人にその考えが本当に自分の考えか問うようにしている、というお話しがありました。木下さん、FMPでのHR相談会について、課題設定の背景などについてお聞かせ下さい。

木下:入社後の各人の成長状態を観察する中、うまく成長できていないケースも散見されたため、問題意識を持ちました。入社者本人を始め、上司や関係者から話を聞く中で、入社者本人が自らの本来の希望をきちんと認識できていないケースが多い事に気付きました。一方で、就活中の学生から「他社からも内定をもらったが、どの会社に行くべきか選び方が分からない」と相談された経験も何度かあり、学生が本当に何をしたいのか、何ができるのか、気づいてもらう重要性を感じて課題を設定しました。又、その解決策の一つとして実施した「HR相談会」では、学生に「WillとNeedとCan」についての話にも言及して来ました。

WillとNeedとCanの三つの輪を思い浮かべて下さい。Willは本人がやりたいとこと、Canはできること、Needは会社がやってほしいことを指します。この三つの輪の重なり部分を大きくして行く事で、学生・会社共にWin-Win、幸せな状況を生み出す事が可能になります。学生は概してWillにばかり目が行ってしまう傾向が強いので、CanとNeedについても認識して考えられるようにお話ししていました。

岡崎:課題設定にはさまざまな方との意見交換や、時間が必要だったのでしょうか。

木下:はい。現場の上司、さらに上の上司などFMPに携わる全てのstakeholdersと密に協議し、本人たちとも一対一のキャッチアップの場を設けました。複数の視点から把握、フィードバックをしつつ随時検証しました。

パネルセッションの様子岡崎:最後に、今回の活動時期の繰り下げの影響も含め、より良い採用を効果的に行うためにどうすればいいか、お聞かせ下さい。

口村:今年の状況を受けて、新たに行うことは特別ないと思います。期間が短くなるからこそ、学生との接点、選考自体の精度やクオリティーを今まで以上に高めていくことに尽きるのではないでしょうか。

木下:まさにその通りだと思います。さらに、入社後の教育や振り返りも今まで同様に粛々と向き合っていくことだと思います。

杉浦:同感です。短期化すると募集フェーズに力がかかりそうですが、当然選考には力を入れるべきで、ここ力を入れるほど広報の役割も担っている視点も大事だと思います。

岡崎:皆さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。


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