コンピテンシー導入の企業事例
[コンピテンシー]
「コンピテンシー(competency)」とは、高い業績を挙げている人材に見られる行動や思考、判断基準などの特性を指します。企業によってコンピテンシーの定義のしかたや、人事制度への反映方法は違います。コンピテンシーを導入している二つの企業を紹介します。
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社は、評価制度にコンピテンシーを取り入れています。同社は半年に一度、コンピテンシー評価とパフォーマンス評価を基に従業員を評価。パフォーマンス評価が目標に対する成果を評価軸として賞与に反映されるのに対し、コンピテンシー評価は期待される行動を継続的に発揮できていたかが評価軸となり、給与に反映されます。
具体的には、行動指針の中で「成功のコンセプト」として掲げる五つのコンセプトに対し、それぞれ評価項目を設定。AAA、AA、A、BBB、BB、Bの6段階で評価します。また、コンピテンシーの内容を社員に共有することで、社員のコンピテンシーの開発を促しています。
コンセプト | 評価項目 |
---|---|
常に改善、常に前進 | チャレンジ |
革新 | |
Get Things Done | |
仮説→実行→検証→仕組化 | 戦略策定 |
人・モノを動かす | |
仕組化 | |
スピード!!スピード!!スピード!! | スピーディーな判断 |
Professionalismの徹底 | 当事者意識 |
人材育成 | |
チームビルディング | |
顧客満足の最大化 | 顧客価値の向上 |
※楽天コーポレートサイトをもとに『日本の人事部』編集部で表を作成
クラレ株式会社
クラレ株式会社では、2017年度から新しい人事評価制度と、その行動指標となる「クラレコンピテンシー5×5」を導入。この指標に基づき、人事評価や能力開発、キャリア開発を行っています。評価制度は、MBO(目標管理)とコンピテンシー評価の二つにわかれており、絶対評価のMBOは賞与に、相対評価のコンピテンシー評価は年次昇給に反映されます。
「意識してほしくない行動」を明確にした新・行動指針
スキンケアを中心としたビューティブランドを展開するオルビスは、セクショナリズムとシニシズムを反転させる組織風土改革をするために、全社員向けの新たな行動指針「ORBIS MANAGER STYLE」を掲げました。意識してほしいマインドセット・行動を、意識してほしくないものとセットで提示し、採用基準や人事評価にも反映しています。
「組織風土改革」と「リブランディング」を同時に成し遂げたオルビス 変化を加速した「未来志向」と「オープンマインド」とは|日本の人事部
- 【参考】
- コンピテンシーの本質~誤解だらけのコンピテンシーを使えるものとするために~|日本の人事部
- 大学新卒者採用において重視する行動特性(コンピテンシー)に関する調査|独立行政法人労働政策研究・研修機構
- 日本企業の大学新卒者採用における コンピテンシー概念の文脈(岩脇千裕、2007)
- 日米におけるコンピテンシー概念の生成と混乱(加藤恭子、2011)
- コンピテンシーとは、何だったのか|リクルートワークス研究所
- コンピテンシー・モデリングに関する一考察(加藤恭子、2020)
- ビッグ・ファイブとは|日本の人事部
- キャリア開発|楽天株式会社
- Kuraray Report2021|株式会社クラレ
- 【参考文献】
- 『コンピテンシー面接マニュアル(川上真史 ・ 齋藤亮三 著)』
- 『コンピテンシー・マネジメントの展開(完訳版)(ライル・M.スペンサー&シグネ・M.スペンサー著)』
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