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無業社会
[ムギョウシャカイ]

「無業社会」とは、無業である若者(若年無業者)が増えている社会のあり方を表す言葉で、仕事を失いやすく、誰もが若年無業者になる可能性があるにもかかわらず、いったんその状態になってしまうと抜け出しにくい社会を意味します。若者の就労支援活動に取り組む特定非営利活動法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏と、社会学者で立命館大学特別招聘准教授の西田亮介氏の共著『無業社会―働くことのできない若者たちの未来』で提唱された概念です。
(2014/10/8掲載)

無業社会のケーススタディ

求職型を含む若年無業者は220万人以上
甘えでも怠惰でもない、働けない理由とは

先述の工藤氏と西田氏は昨年、若年無業者を対象にアンケート調査を行い、その結果を『若年無業者白書―その実態と社会経済構造分析』として発表しました。「無業社会」の実態を民間が自ら調べ、白書にまとめたのは初めてのことです。

若年無業者とは誰を指しているのでしょうか。本白書では「高校や大学および予備校・専修学校に通学しておらず、独身者で、ふだん収入を伴う仕事をしていない15~39歳までの個人」と定義しています。工藤氏らはこれに該当する調査対象者を、2005年に内閣府がまとめた「青少年の就労支援に関する研究調査」における若年無業者の3類型にそって分類し、調査分析を進めました。それによると若年無業者は、(1)就業希望を表明し、かつ求職活動を行っている「求職型」、(2)就業を希望しながら求職活動を起こしていない「非求職型」、(3)就業希望を表明していない「非希望型」の三つに分けられます。

注目すべきは、就職活動をしている(1)の「求職型」――一般には“完全失業者”として認識される層を若年無業者に含めている点です。そもそも本調査でアンケートを実施した対象は、工藤氏主催のNPOが東京、神奈川、埼玉、大阪で実施している国の「地域若者サポートステーション」や、自治体の合宿事業など約30業を利用した人々で、12年1月~13年6月に来訪した15~39歳の2333人でした。つまり、厳密な意味での“引きこもり”状態にある人とは違い、あくまで就労支援機関を訪れた若者のデータだということです。(2)の「非求職型」、(3)の「非希望型」についても、求職活動こそ起こせていないものの、あるいは就職希望こそ表明していないものの、支援機関に足を向けていることから“意欲そのものは失っていない人”と位置づけています。若年無業者というと、いわゆるニートやひきこもりと混同されがちですが、白書ではそうした偏見や先入観とは一線を画し、働きたくても働けない若者の現実に着目。そうした層が拡大している「無業社会」の一端を明らかにしたことが大きなポイントとなっています。

工藤氏らの推計によると、こうした「求職型」を含む15~39歳の若年無業者の数は、国内で220万人を超えるといいます。彼らに対する世間の風当たりは強く、「たんなる甘え」「もとから働く気のない怠け者」といった誤解も少なくありません。しかし調査の結果、若年無業者全体の7割超が1年以上の職歴を有し、「非希望型」でも19.5%が正社員として、35.8%が非正規として働いた経験を持つことが分かりました。最後に働いていた職場に3年以上勤務していた人は31.2%、1年以上3年未満の人を足すと59.2%にのぼります。彼らは働く気がなかったわけではなく、逆にいえば、一度就職できたからといって、無業状態に陥らない保証はないということでしょう。また国の統計でも、工藤氏らのアンケート調査の結果でも、無業状態に陥るきっかけとなった理由の第一は実は「病気やけがのため」で、他の理由より圧倒的に多くなっています。

学校を卒業して、就職しようにもできない。就職できても、劣悪な働き方を強いられて退職に追い込まれる。「怠けている」「考えが甘い」などの自己責任論では必ずしも片づけられない理由によって無業状態に陥る若者の存在は、労働力人口が減少する中、決して見過ごせない問題です。

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