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「新卒採用」のさまざまな手段・サービス

新卒採用の手法にはさまざまななアプローチがある。ここでは新卒採用の各手法について、その特徴やメリット・デメリット、コストなどをまとめた。最良の新卒採用手法は一つとは限らない。それぞれの特徴を考慮して、場合によっては複数のアプローチを並行して進めるといいだろう。

新卒採用の主な手段およびサービスには次のようなものがある。

それぞれの手法についての特徴およびメリット・デメリット、コストを整理してみよう。

新卒採用の手段 ~メリット・デメリット、コスト~

1)大学の就職課

大学の就職課(キャリアセンター・就職支援センター)に求人票を提出することで、入社を希望する学生の紹介を受ける。 また、学内セミナーの開催やインターンシップの告知などを通じた広報活動も可能だ。採用実績を数年に渡り積み上げることで信頼関係を構築できれば、継続的な採用へつながる。また個別に各教授とのコネクションを構築するアプローチもある。

メリット
  • 採用コストはほぼゼロ。(大学との関係構築のために採用担当が訪問するコストのみ)
  • 大学・学部を絞り込んで採用活動ができる。
  • 知名度のない企業でも学内セミナーや就職課からのPRで採用を成功させることができる。
  • 採用実績を積み上げることで継続して学生の紹介が受けられる。
デメリット
  • 大学との信頼関係には採用実績が欠かせないため、紹介された学生を不採用にしにくい。
  • 各大学を訪問し、パイプを作っていく労力がかかる。
コスト 基本的に0円 ※大学までの交通費、自社リクルーターの人件費は別途

2)縁故

知人や親戚、OB・OG、有力者の紹介など、人脈を活用した採用。企業の設立時期は知人・元同僚などの縁故採用が中心だが、企業が成長するにつれ、縁故以外の採用が主になる。

メリット
  • 採用コストはゼロ。
  • 事前に人柄、能力などを把握することができる。
  • 紹介した人への配慮(コネ)から、入社後すぐに辞めることは少ない。
デメリット
  • 採用機会が限られる。
  • 採用後も待遇や対応、既存社員との軋轢を生まないかなどで気を使う。
  • 優秀な人材を採用できるとは限らない。
コスト 基本的に0円

3)新卒ハローワーク(厚生労働省)、ドリームマッチプロジェクト(経済産業省)

「新卒ハローワーク」とは全国のハローワークに設置され、登録している就職活動中の学生や既卒者を企業に紹介する機関である。求人企業は求人票をハローワークに提出することで採用活動が可能。 また、「卒業3年以内の既卒者」を採用した場合は助成金を受けることができる。
「ドリームマッチプロジェクト」とは経済産業省が主催する中小企業と学生との採用・就職支援サービスのこと。求人票を登録することで、Web上で学生との面談が実現。また合同説明会への参加、会社説明会のオンライン配信サービスもある。

メリット
  • 採用コストはゼロ。
  • 合同説明会に参画することができる。
  • 掲載している求人企業は中小中心。大手企業と競合することがない。
デメリット 優秀層の学生は他の就職活動ルート(就職サイトや新卒紹介、学校推薦など)で内定に至るので、優秀層には出会いにくい。
コスト 基本的に0円 
※新卒ハローワークでは既卒者を採用した場合、企業に対して助成金が支給される。

4)就職フェア・合同説明会

多数の企業が集まり、学生に対して会社説明会を行う採用を目的としたイベント。企業毎にブースが設けられ、人事担当者が直接学生と対話する機会がある。各就職サイトが主催しているもののほか、商工会議所や各自治体、ハローワークなどが運営するものがある。

メリット
  • 学生に直接、自社をPRしたり、口説いたりすることができる。
  • 知名度のハンデをある程度払拭することができる。
デメリット
  • フェアに参加する学生はほとんど、ブースに出展している企業を理解していないため、志望動機が薄い。
  • 採用を成功させるには学生を引き込む仕掛け、配布資料、掲示パネル、などプレゼンテーションにおいて高度なノウハウが必要。
コスト
  • 各自治体・ハローワーク・NPO法人が主催しているものは出展費用が0円のものが多い。
  • 就職サイトが主催するものは出展料が50万円~。
    ※担当営業による出展に関するアドバイスやノウハウの提供、運営サポートが受けられる。

5)ソーシャルリクルーティング

Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアを活用した採用活動を指す。企業情報や社員の声、企業理念、サービスの特徴、説明会情報など、さまざまな情報を発信できる。また、Twitterの「リツイート」、Facebookの「いいね」のように、参加者が共感した情報を拡散する機能を利用することで、応募者の母集団形成も可能だ。また、学生からの質問にリアルタイムで返答することで相互理解を深めることもできる。

(◆詳しくは『新卒採用.jp - ソーシャルリクルーティング』へ)

メリット
  • 成功すれば採用単価がかなり抑えられる。
  • ソーシャルリクルーティングに取り組んでいることで、革新的な企業というイメージを与えられる。
  • ITリテラシーの高く、ビジネス感度の高い学生が多い。
  • 情報拡散機能を活用すれば、知名度がなくても大きく注目を集めることができる。
  • 学生と求人企業の双方向の相思相愛状態を醸成しやすい。
デメリット
  • 採用成功にはソーシャルリクルーティングについてのノウハウが必要。
  • 悪い情報も拡散しやすい。
  • 就職サイトと比較すると形成する母集団の数は少ない。
  • 質問への返信、採用したい学生へのフォローなど手間がかかる。
コスト ソーシャルメディアの利用は0円。
※学生の質問への対応など、運用にかかる人件費は別途。
※採用サイト構築を外部に委託する場合は外注費(1万~300万円)等がかかる。

6)就職サイト(先行投資型)

就活中の学生の大半が利用する。メジャーな媒体は「リクナビ」「マイナビ」「日経就職ナビ」「en」「学情ナビ」など。掲載社数はピーク時で7,000社程度、学生も60万人前後利用するため、広く告知できる。また、中小企業に特化、上位校の学生のみターゲット、ある地域に特化、理系学生向けなど、特色を強めた就職サイトもある。

オプションとしてスカウト機能を付けることも可能で、いい人材に企業側からアプローチすることもできる。スカウトに特化したサービスも登場している。卒業年次を問わず登録できる媒体もあり、早期から学生に企業への理解を深めてもらうことが可能だ。

(◆詳しくは『新卒採用.jp - 就職サイト』へ)

メリット
  • 就職活動中の学生の大半が就職サイトを利用するため、募集内容を広く告知できる。
  • 多くの母集団の中から選考できる。
  • スカウトを活用し、欲しい人材にピンポイントでアプローチできる。
  • 卒業年次を問わず学生が登録できる媒体もあるため、早期から企業への理解を深めてもらうことが可能。
デメリット
  • ターゲット以外の学生も数多くエントリーしてくる。
  • 応募者が殺到すると対応に追われることがある。
  • 大手企業、人気企業が採用での競合となる。
  • 採用成功の可否にかかわらず、掲載料が発生する。
コスト ワンシーズンの参画・掲載費 30万~300万円

7)就職サイト(成果報酬型)

先行投資型の就職サイトのほか、内定承諾のタイミングで費用が発生する就職サイトもある。費用が発生するのは内定承諾のほか、エントリー、説明会の予約など媒体ごとにタイミングが異なる場合がある。成果が出るまで費用が一切かからないタイプもあるが、広告掲載のタイミングで初期費用として一部を支払うケースもある。

(◆詳しくは『新卒採用.jp - 就職サイト』へ)

メリット
  • 内定承諾などの成果が出るまで費用が発生しない。または少額で掲載できる。
  • ターゲットに応募を促す設定ができる。
  • スケジュールが立てやすい。
デメリット
  • 応募者が殺到すると対応に追われることがある。
  • 多人数を採用しようとするとそれだけ費用がかかる。
コスト 成果報酬制:採用一人当たり50万円~

8)新卒紹介

通常の人材紹介と同様のシステムで、卒業見込みの学生を企業に紹介することで採用を支援するサービス。ほとんどの場合、成功報酬のためコストのリスクがない。「理系人材」「上位校人材」「グローバル人材」など、それぞれ登録している学生の強みを打ち出している紹介会社もある。

(◆詳しくは『新卒採用.jp - 新卒紹介』へ)

メリット
  • 成功報酬型なので、内定を出すまではコストがかからない。
  • 一次スクリーニングされた人材から選考をスタートするため、効率的。
  • 成功報酬制のため少人数採用ではコストが安く済む。
  • 急な採用にも対応できる。
  • 紹介会社が学生に対して自社のPRを行うなど志望動機の形成も担当。
デメリット
  • 大量採用の場合、採用コストが高くなる。
  • 人材紹介会社が集めた母集団からしか採用できない。
  • 採用時期が遅くなると、内定が出ていない学生の割合が増える。
コスト 成功報酬制:採用1人当たり/50万円~
※理系学生、上位校学生など、優秀層に限定した採用の場合は採用単価が上がる傾向。

9)会社説明会(オンライン開催)

会社説明会を、オンラインツールを用いて実施する方法。事前に収録した動画を配信するオンデマンド型と、リアルタイムに実施するライブ配信型がある。公開日を限定することで学生が主体的に参加できるようにしたり、公開日をあえて限定せず学生の空き時間に見てもらえるようにしたりするなど、目的に合わせた柔軟な設計が可能。

メリット
  • 地方在住や留学中の学生など場所にとらわれない母集団形成が可能。
  • 会場手配、設営、受付などオフライン会場で発生する工数やコストの削減につながる。
  • 企業側、学生側ともにスケジュール調整の難易度が下がる。
  • スケジュールが立てやすい。
デメリット
  • 企業側のITリテラシーが求められる。
  • 全て社内で対応する場合は準備に時間がかかる。
  • 対面で会っていないため、学生の反応や温度感がわかりにくい。
コスト 基本的に0円(配信のための設備は除く。撮影を外部に依頼した際は別途費用)

10)ミートアップ

企業と学生がランチや軽食を取りながら、ゲームやライトニングトークなどで交流するカジュアルな場。会社説明会よりもラフな集まりにしやすく、学生の気軽な参加を促せる。会社説明も盛り込むことが可能。採用に結び付かなくても、企業の取り組みや雰囲気、事業内容などを知ってもらうことができる。ユニークなイベントを企画すれば、SNSでの拡散で会社のPRにつながる可能性もある。

メリット
  • 気軽に参加してもらえる。
  • 機材の準備が不要。
  • 参加者に会社の取り組みをSNSで拡散してもらえる。
デメリット
  • ケータリングや会食の会場を探す必要がある。
  • 採用に結び付かない可能性もある。
  • 良い人材がいても入社意思が高いとは限らない。

※直接会う場合は、十分な感染症対策をとる必要がある。

コスト 基本的に0円(食事代、場所代などはかかる)

新卒採用を成功させるためのサービス

1)採用代行・アウトソーシング

採用アウトソーシングは企業の採用パートナーとして、採用戦略・企画、さまざまな採用業務の代行、ツールの提供、選考のための教育・研修など、新卒採用に関するほぼすべてのプロセスを請け負うサービス。採用にかける自社のマンパワーを大きく削減することができる。

(◆詳しくは『新卒採用.jp - 採用代行・アウトソーシング』へ)

メリット
  • 戦略立案から応募代行・面接代行まで、採用に関わる業務をすべて任せられる。
  • 採用にかけるマンパワーを大幅に削減できる。
  • アピールポイント打ち出し方や学生の集め方など、多くの採用ノウハウを活用できる。
デメリット
  • 採用代行会社の人件費がそのままコストになるため、少人数採用の場合は割高
  • 会社の顔となる採用担当が採用アウトソーシング会社の社員となってしまう。
  • 社内に新卒採用ノウハウがたまりにくい。
コスト 1人常駐の場合:100万円~/月

2)新卒コンサルティング

短サイクルで変化する新卒マーケットを熟知し、企業理念や経営戦略などを踏まえた採用の戦略的な提案を行うサービス。さらに、採用活動やその結果を通じて、企業全体の組織活性化、業績向上などを実現する「経営コンサルティング」としての効果を期待されるケースも増えている。

(◆詳しくは『新卒採用.jp - 新卒コンサルティング』へ)

メリット
  • 採用した学生の入社後の定着率、活躍度まで見通した採用の提案が受けられる。
  • 採用ノウハウが学べる。
  • ニュートラルな立場で最適な採用手段をコーディネートしてくれる。
  • 学生が働きたいと思うような、会社組織や社風の改善につながる。
デメリット
  • 申込み前に、採用成功への道筋がイメージしにくい。
  • サービスの内容にもよるが、一般にコストが高い。
コスト 総合的な提案の場合: 年間100万~1000万円

3)内定者フォロー

内定者フォローの最大の目的は、辞退者を出さずに内定者の入社を実現することである。また、無事に入社したとしても、企業理解が浅いままでは、モチベーション低下や早期離職につながりやすい。 入社までに企業理解とモチベーションを高め、活躍できる人材へ育てるサービス。入社前研修の要素が強い内定者フォローもある。

(◆詳しくは『新卒採用.jp - 内定者フォロー』へ)

メリット
  • 内定辞退や早期離職のリスクを低下させることができる。
  • 人事担当者・同期入社社員との接触が生まれ、企業理解と結束が深まる。
デメリット
  • 内定後も人事・採用担当者に手間が発生する。
  • 課題提出を多く課すと、卒業前の追い込みをしている内定者に負担をかけてしまう。
コスト フォローする内定者の数、研修内容によって変わる: ワンシーズン10万~100万円

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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