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日本における新卒採用の歴史

新卒一括採用システム」は、歴史的にはどのような経過をたどってきたのだろうか。新卒採用の現状を正しく把握するためにも、その歴史を簡単に振り返ってみたい。

1)明治期

この時期の大学とは「旧帝大」であり、そこで学ぶ学生は当時の社会の中で真のエリート層といえた。卒業生の多くは官僚となったが、一部は中央官庁とのパイプを必要とした旧財閥系企業などに幹部候補生として迎えられた。

2)大正期

第一次世界大戦をピークとする好景気の到来で、多くの企業が高等教育を受けた人材を求めるようになった。しかし、その当時の大学は旧帝大しかなく、人材は非常に限られていた。そこで、企業は高等小学校を出たばかりの優秀な若者を多数採用し、社内で育成するようになった。技術だけでなく、社内に学校を作って数学や英語などの基礎教養も教えたのだ。この「ポテンシャルの高い新卒を採用して社内で育成する」システムは、その後、大学の新卒者に対しても受け継がれていくことになる。

1918年、政府は「大学令」を公布し、大学(大学生)を一気に増やす改革を行った。しかし、大戦の終結、さらには関東大震災による不況で、今度は就職を希望する学生が企業に殺到する「買い手市場」へと状況は一変し、各社で入社選考が行われるようになった。これが新卒一括採用の始まりといわれる。各大学に就職部ができ、就職指導などを行うようになったのもこの時期である。

3)昭和初期~戦中

世界恐慌の影響で、就職難がさらに深刻になる。小津安二郎監督の映画「大学は出たけれど」が公開され、流行語となったのは1929年だ。

しかし、日中戦争が激しくなると軍需産業を中心に景気が回復し、今度は「売り手市場」となって初任給が高騰するまでになった。そこで、戦時体制下の政府は、国が新卒者を企業に割り当てる制度(1938)や初任給の一律化(1940)などを断行した。それまでは帝大と私学など、出身学校によって初任給にも差があったのだが、これが現在にまで続く「新卒者の初任給は横並び」という慣行のルーツとなっている。

4)戦後~高度成長期

朝鮮戦争(1950)が勃発すると、特需によって好景気が到来。新卒採用競争も激化したため、文部省は就職あっせん開始日を定めた、いわゆる「就職協定」を通達として発表する。60年代に入ると本格的な高度成長期となり、協定があるにも関わらず新卒採用の早期化(青田買い)は進んだ。

この頃の新卒採用は、明治期のような幹部候補生としての大卒採用ではなく、大正期以降の「ポテンシャルの高い若年労働力」の確保を主目的としたものとして、システム的に完成している。入社後の教育を前提として行われる一括採用と、育てた人材が早期退職しないように、長く働くほど給与が上がり、多額の退職金が受け取れる年功序列型賃金体系をセットにしたシステムである。

ちなみに、現在の就職活動の主流である自由応募が一般化したのは1968年から。大学紛争によって学校推薦の機能が麻痺し、学生が自力で企業訪問を始めたのがきっかけだった。ちょうどこの時期に「就職情報産業」が生まれ、学生と企業をつなぐ大きな役割を果たすようになっていく。

5)現代

イメージ空前の「売り手市場」となったバブル経済期、その崩壊の反動による就職氷河期など、1990年代以降さまざまな動きがあったが、もっとも大きな出来事は、「守られないならあっても意味がない」として、1997年に「就職協定」が廃止されたことだろう。

これによって、現在の「就職活動の早期化・長期化」が本格的に始まったが、その背景には、企業側の「厳選採用」という動きと、「学生数の増加」という事実がある。企業・学生ともに、他より早くから活動しなければ勝ち抜けないという思いがあったことが、協定を廃止させたともいえるだろう。

また、双方をつなぐ「インターネットというツールの普及」も見逃せない。

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以上、駆け足で見てきたが、まとめると「日本独特の新卒一括採用」は、大正初期の好況期に優秀な人材を確保するために始まった制度が大卒にも応用され、戦後の高度成長期に「日本型雇用慣行」の一環として完成されたものといえる。

好況期をバックグラウンドとして成立した現行の日本型新卒採用システムだが、「失われた20年」といわれる長い景気停滞期にある現在、何らかの課題が生じてくるのはごく自然なことなのかもしれない。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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