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「新卒採用」の注目ニュース

平成29年度大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)(文部科学省)

[2016.09.30]

大学等で構成する就職問題懇談会(※)は、大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動の秩序を維持し、正常な学校教育と学生の学修環境を確保するとともに、学生が自己の能力や適性に応じて適切に職業を選択できるようにするため、別紙の「平成29年度大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)」を定め、各大学等に周知しましたのでお知らせします。

(※)大学等卒業予定者の就職活動の在り方について検討・協議を行う、国公私立の大学、短期大学及び高等専門学校関係団体の代表者から構成される組織。

 

平成29年度大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)

大学、短期大学及び高等専門学校(以下「大学等」という。)は、学生に高い学力と豊かな人間性を身につけさせた上で卒業生・修了生として、グローバル化をはじめ複雑多様化した社会に送り出す社会的使命を負っている。この本来果たすべき使命と責任を十分に認識し、その責務を果たすため、就職・採用活動にあってもその秩序を維持し、正常な学校教育と学生の学修環境を確保することが重要である。

特に、学生の就職・採用活動の早期化・長期化の是正については、これまで、国公私立大学等で構成する就職問題懇談会において、大学等関係団体の総意として、経済団体等に対し要請を行い、意見交換を重ねた結果、平成27年度卒業・修了予定者から、広報活動の開始時期を卒業・修了前年度3月に、採用選考活動の開始時期を卒業・修了年度の8月に変更することが合意された。

しかし、平成27年度の就職・採用活動が実施され、その検証を行ったところ、就職・採用活動が結果としてなお長期にわたり、特に卒業・修了年度の1学期における学生の学修時間の確保に支障が生じている実態が伺われたため、経済界から採用選考活動開始時期の見直しを求める声が出てきた。そこで、一般社団法人日本経済団体連合会(以下、経団連)は、大学側の意見も踏まえて学生の学業への妨げにならないよう配慮した上で、平成28年度卒業・修了予定者については、採用選考活動の開始時期を2ヶ月早め、卒業・修了年度の6月とすることを決定した。

さらに、経団連は、平成28年度の就職活動の実態を踏まえ、平成29年度卒業・修了予定者についても同様のスケジュールで実施することを決定した。

大学等としては、時期変更の本来の趣旨を踏まえ、よりよい方策についての更なる検討及び経済界との対話を継続する必要がある。その一方で、現に就職を控えた学生に対しては、経済界との協力の下、引き続き学生の学修時間の確保や留学などの多様な経験を得る機会を確保するとともに、学生が適切な職業選択を行う機会を確保することを責務の一つとして取り組まなければならない。

以上のことから、就職問題懇談会は平成29年度卒業・修了予定者の就職・採用活動について、下記のとおり申し合わせる。また、このような取組に対しては大学等全体として足並みをそろえることが重要であり、各大学等においては、全教職員が協力し、全学的にこれを実行することを再度確認する。

なお、平成30年度以降の卒業・修了予定者の就職・採用活動については、今後検討していくことになるが、今般の時期変更により、学部3年次の授業への出席状況が改善した等の成果が現れていることを十分に踏まえながら経済団体等と意見交換を重ね、議論を積み上げていくこととする。

 

1.就職・採用活動の円滑な実施について

(1)学生への周知・情報提供
1) 学生に対する十分な周知
各大学等は、学生が混乱することのないよう、就職・採用活動時期について、その趣旨を含めて、学生に対して十分に周知する。採用選考活動が授業期間と重複するスケジュールであることを踏まえ、学生個々の学業と採用選考関係の日程が重複する場合には、採用選考関係の日程調整に関して企業等に相談することも可能であること、留学や教育実習等を希望する際は注意が必要であること等を特に周知し、就職活動が学業を妨げないよう指導する。

また、就職活動に関して不都合が懸念される場合には、できるだけ早期に企業等に申し入れたり、大学等の就職担当者に相談したりすることが重要であることも、合わせて周知する。

2) 就職関連情報の積極的な提供について
学生が進路選択する際の検討に資するため、各大学等の学部・分野別の就職実績等や各大学等の職員採用についての採用方針や採用実績等の就職関連情報の積極的な提供に努める。

(2)企業等への配慮の要請
企業等が学期期間中に採用選考活動を実施する場合には、当該活動が学業の妨げとならないよう、以下の配慮を企業等に対して強く求める。
・学生の学修に十分配慮した形での採用選考活動の実施
授業、試験、留学、教育実習等と採用選考活動が重複する場合は、学生からの求めに応じ、個別的な採用選考日時の変更など必要な対応を明示的に行うこと。また、土日祝日や平日の夕方の活用も取り入れるなど、学生の学修環境を損なうことのないよう極力柔軟に対応すること。
・採用選考開始日より前に採用選考活動を実施しないよう徹底すること

(3)就職・採用活動スケジュールに関する留意事項
1) 「企業説明会」の取扱いについて
卒業・修了前年度3月1日より前は、学内及び学外で企業等が実施する「企業説明会」に対して会場提供や協力を行わない。なお、「企業説明会」とは「会社説明会」、「学内セミナー」等の名称に関わらず、採用を目的として事前に採用予定数や選考スケジュールなどの採用情報を広く学生に発信するための説明会を指す。
卒業・修了前年度3月1日以降、「企業説明会」を大学等の協力の下に実施する場合は、参加の有無がその後の選考に影響しないことを学生に対して明示する。また、実施に当たっては、土日祝日や平日の夕方以降の実施など、可能な限り学事日程に配慮する。

2) 学校推薦の取扱いについて
学校推薦は、卒業・修了年度6月1日以降とすることを徹底する。

3) 正式内定開始について
正式内定日は、卒業・修了年度10月1日以降である旨学生に徹底する。正式内定に至るまでの間においては、複数の内々定の状態が継続しないよう、学生を指導するとともに、9月30日以前の内々定は学生を拘束しないものである旨徹底する。

(4)初年次からのキャリア教育・職業教育の充実
キャリア教育・職業教育は、就職活動に関する指導とは異なるものである。しかし、学生の職業観や勤労観を涵養し、個々人の個性や適性に応じた職業を学生自ら選択できる能力の育成や学修意欲を高めるために極めて重要であることを踏まえ、初年次からのキャリア教育・職業教育の充実を図る。
キャリア教育の実施に当たっては、前述の「企業説明会」とは明確に区分した上で、幅広く企業等の協力を得つつ、積極的な取組を行う。

 

2.就職・採用活動の公平・公正の確保について

(1)学生の応募書類等について
学生の応募書類は、「大学等指定書類(『履歴書・写真・自己紹介書』、『成績証明書《卒業見込証明書を含む》』)」とし、企業等に対して、就職差別につながる恐れのある項目を含む「会社指定書類」《エントリーシート等を含む》、「戸籍謄(抄)本」、「住民票」等の提出を求めないよう要請する。また、面接においても同様に就職差別につながる恐れのある内容の質問等をしないよう要請する。

(2)男女雇用機会均等について
就職・採用活動は、男女雇用機会均等法及びその指針の趣旨に則って行われる旨を企業等に徹底するよう要請する。特に、総合職採用における女子学生への配慮を要請する。

(3)職業の選択の自由を妨げる行為やハラスメント的な行為について
 必要な人材確保に熱心になるあまり、
 1) 広報活動開始前又は広報活動期間中に早期に内々定を行うこと
 2) 正式内定開始日前に内定承諾書、誓約書をはじめとした内定受諾の意思確認書類の提出を求めること
 3) 6月1日以降の採用選考時期に学生を長時間拘束するような選考会や行事等を実施すること
 4) 自社の内々定と引き替えに、他社への就職活動を取りやめるよう強要すること
 等の学生の職業の選択の自由を妨げる行為や、学生の意思に反して就職活動の終了を強要するようなハラスメント的な行為は厳に慎むよう企業等に対して要請する。
 また、予め示された必要書類以外のものを選考の最終段階や内々定後に求めることがないように、必要書類を含む採用選考情報をあらかじめ明示することも要請する。

(4)インターンシップについて
インターンシップとは、一般に「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と捉えられており、その実施にあたっては、「インターンシップの推進に当たっての基 本的考え方」 [1]を踏まえ、適切に実施するよう企業等に対して要請する。
 そのため、広報活動開始前に「インターンシップ」と称した会社説明会や実質的な採用選考活動とも捉えられるような行事等は慎むよう要請する。

(5)大学等の所在地等への配慮について
大学等の所在地や学生の居住地が遠方である場合などには、それが採用選考において不利とならないよう配慮することを企業等に対して要請する。

 

3.その他の事項について

(1)各大学等における職員採用の対応について
企業等への就職・採用活動のみならず、各大学等における職員採用においても、今般の就職・採用時期の変更を踏まえた対応を行う。

(2)採用選考活動における評価について
就職・採用活動時期の変更の趣旨を踏まえ、企業等に対し、少なくとも卒業・修了 前年度までの学業成果を表す書類(例えば成績証明書や履修履歴等)を選考の早期の段階で取得し、採用面接等において積極的に活用することにより、学生の本分である学業への取組状況を含めて適切に学生を評価することを求める。

(3)学生の健康状態への配慮について
採用選考活動の実施時期が梅雨や夏季に当たるため、企業等に対して、学生のクールビズ等への配慮を明示するよう求める。

(4)「申合せ」の内容の周知について
各大学等は、「申合せ」の内容について、学内の教職員はもとより、学生への周知徹底を図り、学生に不安と混乱が生じないよう適切に対応する。

また、企業等に対しても、以下の手段等により、「申合せ」の内容の周知を図る。
 1) 学内で企業説明会を実施する企業等への手交
 2) 企業等に求人依頼文書を発送する際、「申合せ」又は「申合せ」の内容をまとめた文書の添付
 3) その他、メール等による企業等への「申合せ」の内容の遵守に関する直接的依頼
 各大学等による企業等への直接的な要請は「申合せ」の趣旨の理解促進に極めて重要であるため、各大学は主体的に上記に取り組み、一層の周知徹底に努める。

[1] 「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(平成26年4月8日一部改正 文部科学省、厚生労働省、経済産業省)(抜粋)
インターンシップと称して就職・採用活動開始時期前に就職・採用活動そのものが行われることにより、インターンシップ全体に対する信頼性を失わせるようなことにならないよう、インターンシップに関わる者それぞれが留意することが、今後のインターンシップの推進に当たって重要である。

 

<お問合せ先>
文部科学省高等教育局学生・留学生課

 

◆ 詳しくはこちらをご覧ください。

(文部科学省 http://www.mext.go.jp// 12月10日発表・報道発表より転載)

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