圧迫面接
[アッパクメンセツ]
圧迫面接とは、採用面接において、面接担当者がわざと意地の悪い内容の質問や厳しい批判をしたり、威圧的な態度をとったりして、受験者の受け答えを観察・評価する面接手法です。仕事上のトラブルや顧客・取引先からのクレームなどを想定し、受験者が緊迫した状況にどれだけ対応できるか、ストレス耐性や打たれ強さを見るために行われるといわれます。
圧迫面接のケーススタディ
背景に“ストレス耐性”を重視する風潮<br /> パワハラ、人権侵害と見なされるリスクも
圧迫面接では、受験者に対して次のような質問がよく行われます。
「部署や業務が志望通りではなかったら、どうしますか? 転職するんですか?」
「うちには向いていないと思いますが」
「どうせしばらくしたら辞めて家業を継ぐ(結婚する)んでしょう?」
「うちが不合格になったらどうするの?」
(趣味や学生時代の活動を聞いた上で)「それのどこがおもしろいの?」
採用の現場では、就職マニュアル通りの模範回答に終始する受験者の本質や本音を引き出すためのテクニックとして、古くから圧迫面接が用いられていました。とりわけバブル経済崩壊後の就職氷河期においては、買い手市場を背景に受験者をふるい落とす目的で安易に行われる風潮が広がり、企業側が批判を受けることもありました。
実際、上記のような質問によって、社会経験の乏しい学生がプライドを傷つけられたと感じたり、就職意欲を失ったりするケースが後を絶たないことから、近年では、圧迫面接は「面接の名を借りたパワーハラスメント」と解され、人格否定・人権侵害と批判されることも少なくありません。またインターネット上に、就職活動中の学生の口コミで「あの会社は圧迫面接をしている」「圧迫面接で泣かされた」といった噂が広がり、応募者の減少や企業のイメージダウンにつながる恐れも指摘されています。
もっとも、上記のような高圧的な言い方ではなくても、受験者からすれば圧迫面接と受け取られる場合があります。要領を得ない受け答えに対して、面接担当者が「なぜ」「どうして」と発言内容を掘り下げていく、“突っ込み”が圧迫と見なされるのです。本来、受験者の発言が論理的で要点をおさえていれば、「なぜ」「どうして」と問われないわけですから、これは昨今の若年層のコミュニケーション能力不足が起因しているといえるでしょう。どこまで厳しければ圧迫面接で、どこからがそうでないのか、採用側(企業)と受験者側(学生)の間に認識の違いがあるのは否めません。
圧迫面接という手法の是非は別として、ビジネス環境が厳しさを増し、企業の採用枠も限られるなか、採用側がストレス耐性の高さや打たれ強さを重視する傾向はさらに高まると考えられます。